[行こうかと差し出された手を、迷うことなく掴み。
コクーンを降りる。
少し血が足りず、ふらっとしたものの、動くことに支障はなさそうだった。]
それは楽しみね……。
久しぶりに外にでるから……
心臓がうるさくってたまらない。
[いつもより気障ったらしい笑顔と、言葉回しに可笑しくなって、くすくす笑うも否定することはない。
最期だからと、目を細めて。
(ああ、幸せだ……。)
……そう思った。
これから死ぬということは分かっているのに。
彼が笑っていること。
手に彼の温度があるということ。
たったそれだけのことだけれど……。
どうしようもないくらい……幸せだった。**]