―― 非常階段 ――[私は、男の姿を見下ろす。傍らに寄り添う白い猫>>178は、どのような眼をしてそのさまを眺めていたのだったか。酷く憔悴した様子の男の目には、此方の姿は目に入っただろうか。意識はあったか。いずれにしても、その男が知ることはないだろう。傍らに沿うその白猫の手引きを。予定外のことではあるが――…この男を、生かしておくわけにはいかない。] ――…[語るべき言葉はなかった。私は、男の前に佇み、爪を振りかざす。]*