― 二条城 ―
[素直な返事に、虚をつかれて手が止まる。>>149
珍しい、と言ってしまうと今度こそ文句が返ってきそうなので誤魔化すようにそのまま手を離し。
むず痒さに緩みそうになる顔を堪える為、顔を逸らして歩き出そうとしたが。]
ほら、次に――って、いろり?
ふはは、何するんだ、くすぐったいって…!
[肘を引かれ、足は進まず。
左肩にぐいぐいと擦りつけられる頭に、声をあげる。
首筋を掠める金色が、こそばゆい。
もっと撫でろと強請る仔犬の仕草に。引いた右手をもう一度伸ばし、わしゃわしゃと掻き混ぜる様に頭を撫でる。
押し付けてくる顔が俯いているのをいいことに、そっと額もすり寄せて。
しばらく撫でると満足したのか、大人しくなり。
上げた顔に浮かんだその無防備な笑みに、目を見開いた。]