――ー悪いな。ちと気分が悪いんだ、今。
さっさと片付けさせて貰うぜ。
[そう告げるや否や、みるみるうちに人だった男の姿は真っ黒な毛並みの獣へと変化した。抵抗する間も与えず、思いっきり四肢へと食らいついた。牙が体に食い込む。あたりの本や資料に血しぶきが飛び散った。
急所に当たっていなければ、ヴァルターが何か言い残す余裕もあったかもしれない。だがやがてその息も失われ、男の体は無残な肉塊へとなり果てる。あちこち食い散らかされた彼の姿はかろうじて顔がわかる程度だろうか。
全体の3分の2程度をたいらげたあたりでふいに口をぬぐった。人の体に戻る]
…しゃあねぇな。少しは残しといてやるか。
[やたらと食い意地の張った仲間の顔を思い出しながらそんな風に呟く。成人男性の体はそれなりに食い出があったので、それなりに空腹は満たされた。ぺっと血を吐く。
食事が終わればもう一人の仲間に連絡を取りいつもの後始末を頼むだろう。最後にちらりと死体を目にし、その場を後にした**]