― 東屋 ―
[絵を描きに、なんて。言うに事欠いて、随分と間抜けな質問をしてしまったものだと彼女の顔>>181を見ながら思う。
絵には心があらわれる、という。
今この時、彼女が絵を描けないのも道理と思えた。
こちらを気遣ってくれる言葉の響きが優しく切なくて、笑みになりきらぬ、でも微笑みのような色を頬に浮かべて頷き返す。]
そうか。…街の様子はどうだった?
民には随分と心配を掛けているだろう。
街の様子は静かだったか?生活は。
困っている様子などはなかっただろうか。
[流石に父が弑されてのち、街に降りることはしていない。
しようとも思ってはいなかった。けれどその分、気にかかる。
彼女の目に、街はどのように映っただろうか。]