[やがて書斎を出て広間を再び訪れた時には自分以外が揃っていただろうか。軍服を纏う老婦人には会釈し、もし旅人がそこにいれば無表情のまま目を瞬かせ]ああ、……あんた、出れなかったんだね。[そう言って視線を逸らしただろう騒動が起きる前に村を出ていれば巻き込まれなかっただろうに。僅かでも憐れみの気持ちを抱かずにはいられなかった]