― サロン ―[ギィの背を見送ることはしない。ヴィンセントはジークムントの姿を求めて、サロンへと向かう。思えば、アプサラスとシメオンにジークムントを引き合わせたのはそのサロンで、あれから一昼夜とたっていないのだ。接近を伝えるべく、手にした薔薇の香りを夜気に乗せる。] ──…ここにおいでだと。[扉をあけて、ジークムントへ声をかけた。]