そも、普通の人間の一生などでは計れぬ話だな、それは。人の世の在る限り、争いは止まず、神ならぬ人の身に「負」の心を完全に捨てる術は無い。[ 冷たくも響く声で、そう断じてから、腕組みして目を細めた ]神代の封を修復したからとて、一度壊れたものは、元の封と同じ強さは保てぬのではないか?可能な限り、世の乱れを届かせぬため、この地を不可侵としたのは判る。だが、動かぬ水は腐り、動かぬ大気は澱む。「負」の気を届かせぬだけではなく「正」の気を巡らせる事も考えてはどうだ?