― 卒業式の後・寮室内 ―
[ジェフロイへの卒業祝いを選ぶのには少し苦労があった。
なにせ、菓子やら細々としたものを除くと、人に物を贈る経験というものがほとんどない。
どちらかといえば与えられて育った身だからであろう、気の利いた贈り物など思いもつかなかったのだ。
装身具は人それぞれ好みや拘りがあるだろう。武具装飾も同じだ。
あれこれと手に取ってみたが、イメージと合わなかったり、ピンと来るものに行き当たらない。
実用品ともなれば、それこそ候補は無数にある。選び切れるだろうか、卒業式までに間に合うだろうか――そんなことを考えながら、東奔西走、せっせと足を運ぶ日々。]