[状況確認が始まったころに、ふ、とまた香る強いの匂いは、
薬品――いや、アルコール?>>172
襲撃前に一杯食らってきた、という類の匂いでもない気がする。
香りは記憶を刺激する。
やはりあの頃は覚えがなかった匂いのように思えたけれど、
だからといっておかしいことがあるかと言われれば、特に何も思わない。
今は、その違和が、ただ記憶に自然と留まるだけ。]
ああ、そうだな。
俺も人狼を探してみる。
メイン・サロンの周りはさっき一回りしたから、
他のフロアに怪しい奴がいないか、見てみるつもり。
[ゲオルグの言葉に頷きを返す。
ドロシーは、力を使えば倒れかねないというのなら、誰かといるべきなのだろうが、
だからこそゲオルグと一緒にいたのだろう。
そんな風に納得し、いくらかふたりと会話を交わすこともあったかもしれないが――…
特に呼び止められることがなかったとしたら、その場を去ってゆくだろう。*]