― 回想・奈良公園 ― ………。幸兄って、そうゆう趣味があった訳?[何処か穏やかに、甘やかすよう囁かれた答えに、一瞬詰まって小さく応じた。とはいえ自分も一応は予習を、と兄の提案先を、歩き出しながらスマホで検索する。顔を上げれば、昨日今日で幾度目かの視線>>151道中のバスの車内でも、威圧感に満ち満ちていたクラスメイト。首を傾げて数秒思案、兄の手を一度くいと引いてから離し、何処か手持無沙汰に見えた彼の元へと]