― 旗艦ヴァンダーファルケ ―
ああ、忙しいところすまんな。
[やって来たシロウへと、まずは労いの声をかける。
シロウは軍医ではないとはいえ、医療を以って将兵を救う男だ。必然的にその仕事は、戦中、そして戦後にもっとも忙しくなる。それを重々承知で、しかしその上にも呼び出した理由があった。]
お前さんにひとつ、頼みがあって来て貰った。
知っての通り、モルトガット帝国皇帝から一時停戦…
まあ、ほんの一時の話だが、停戦の申し入れがあってな。
受け入れることにした。
[端的に告げられるのは、会見の経緯。
枝葉は省かれ、結論を淡々と口にしていく。]