[己の一言一言に、傷を受ける様に悦を覚えるのは悪趣味か。
否、彼とて似たようなものだ。無感情よりはずっと良い。
彼は己を呪って良かった。
我が身の悲哀を望んで許されるは彼だけだ。>>140
この蒼き眼差しだけは、赫の眸を寛容にさせる。>>175
我が身を贄と変えて、彼の寵を買うとは想像していなかった。
けれど、それで彼を掌握できるなら、悪い取引でもない。]
――― 機嫌を取れ、と、聞こえるな。
[小さく笑みを噛んで、彼の嘘を看破する。
舐めるように浚う口付けは、半ばご機嫌取り。
彼の我儘も嘘も、甘いのだと、今更に気が付いて。>>176]