[そんな感じで、誰よりも懐いて。
けれど、時折、噛みつく事もあった。
一番酷かったのは、探検の途中。
少女が足を滑らせ、高所から落ちた時の事。
支えきれず一緒に落ちて、こちらを庇った少年が怪我をした時]
……おにぃのおばか!
あたしは、ちょっとの事じゃ怪我とかしないのに、なんでそーゆー無茶するの!
おにぃのそーゆーととこ、あたしはきらい!
[護ってもらえるのは嫌じゃない。
けれど、そればかりというのは嫌だから。
大丈夫よりも何よりも、口をついたのはそんな言葉。
涙目でうー、と唸る様子は仔犬さながらに見えたやも──というのはさておき]