― 回想・第二試験日前日まで ―
[御使いの夜から、また色々なことを教わった。
これまでよりも、もっと広く、深くを。
本能の律し方と魔力の制御は特に入念に学んだ。
自分でそう決めてのことならいざ知らず、暴発で不本意に
周囲を害したくはない。
いずれ領民を治めるため、自己を律し私欲は御すよう父に施された教育が、息女として死した後も思わぬ所で役に立った]
[引き取られた後真っ先に教授されたのは精神感応の制御だったが、教わらずとも自然と形を成していた術は一つきり。
今日も独り廊下に滑り出、両の掌を重ねそっと握り込む。
囲う掌を解けば、青白い光がふわりと放たれる]