― 大浴場 ―[湯に身体を浸して入る大きな風呂は、この城での気に入りの場所ではあったけれど醜い身体の傷を他者に見られたくなくて人払いをしてから入った事がなかった。尤も、この城に居るものは皆、多かれ少なかれその肌に傷を負っているのだけれど。今はもう、そんな事を気にする心算もなかった。傷を見られた程度が、何であろうか?髪まで赤く、銃弾で抉った脳まで元通になったというのに]