― 15年前/オルヴァル ―
ぐお!ちょ、シロウ!締め付けすぎっ!
[ 文字通りの命からがら、傭兵団の拠点となっている港町まで帰り着いて、すぐに男はゲオルグの命令によって有無を言わせず若い医師の元に引きずって行かれた。
放っておいたら艦の損傷や部下の負傷の確認に駆けずり回って本人がぶっ倒れるという事態になるのは目に見えていたから、それは実に適切な判断と言える。
シロウとは割合に年が近く、普段から怪我の絶えない血気に逸った年頃だったこともあって、遠慮なく言葉を交わす間柄でもあった。
その分治療にも遠慮会釈はなく、固定が唯一の治癒の早道だから文句を言うなと言われればぎゅうぎゅうと巻き付けられる包帯にも耐えるしかない ]