…こんな片手間に描いたものでよければあげるよ
完成する頃にまた来るといい。
ボクはローレル・ロロンド。
よろしくお見知りおきを。
[ 描きかけの『それ』を絵と言う相手に
何となく嬉しさを覚えながら名乗った直後。
突如としてその場がざわざわと騒がしくなり、
眼鏡の彼は囚人の如く連行されていった。
そんなことが何度も繰り返されれば、
さすがに彼がサボタージュを目的として
東屋へやって来ているのはいやでも察しが付く。 ]
[ 完成した『絵』は渡す機会があったのだったか。
――それはさておいても、近頃では
東屋に茶菓子を切らさない、というのが
この宮廷画家の中では密かな取り決めとなっていた。** ]