[ 手配書の合成写真なんて随分と着色されたもので。
似ても似つかぬその少年の頭を撫で、安心させようと
何度も頭を撫でて。
──フェンリルのスルトの話を聞き“かわいそう”という感情を持ったけれど>>128。
“かわいそう”は上から目線の言葉。
僕自身も似たような実験の被検体ではあるけれど、
成功作であり日常生活を送るにはほぼ支障は無かった。
少なくとも、当時は。
僕が彼のようになっていた未来だってあったのに。
全く、酷い思い上がりだ。
だから、
そんなことを思うようになったのも、この身のせい。
ガルーの哀しき聲だって、既に何度聞いたか覚えていない。
──だが、ガルーも危険種であれ親から生まれた生物だ。
仲間や家族を恋しいと思う気持ちは、人と変わらなかったのだから。]