小物作家 アレクシス

[夜が明ける前の出来事]

[皆が話で盛り上がる中、アルビンの側に歩み寄り]
…ああ、アルビンさん。今、宜しいですか？
先日…お話していたものが、完成しましたので。
[隣の席に座り、カバンから袋を取り出す。それを机に置いて、袋を開ければ。赤紅色の首輪をつけた、犬のぬいぐるみ。座ってこちらを見上げる視線は、誰かを待っているようで]
…ようやく、です。普段よりは…少し、本物らしいでしょうか。
今回は、依頼された方の飼い犬がモデルなんです。何でも、友人から譲り受けた子とか。
…代わりに、これを贈るのだと、仰っていました。
――いえ、供えるでしたかね？
[指先で犬の頭をすう、と撫でて]
…気に入って、頂けるといいんですが。

[アルビンが見終われば、全てをカバンに片付けて]
アルビンさんのおかげで、素敵な子に仕上がりました。
…有難うございました。
[礼を告げて、席を外しただろう]