[どのくらい傍にいられるだろうか――。
望まれる限りということは、いつ手放され。放り出されても、何も文句は言えない。]
でも、その人にも好きな人がいるんだ…。
俺なんかどう頑張って逆立ちしても叶わないような…、そんな人が…。
[「バカみたいだろ」そう付け加えて、笑ってみせたけれど。上手に笑えたか、自信はない。]
――…兄ちゃんさ…、"お前は"帰すって…。あの時、そう言っただろ?
[>>219 書庫での兄の言葉を繰り返す。
あの時、兄の目はどこか暗く遠くを見ているようで、嫌な予感に胸が騒いだ。]
1人で何かするとかさ…、無しだからな?
[そこまで言ってから、もう一度兄の顔を見つめた。
何か答えは返ってきたか、来なかったか。
どちらにしろ静かに席を立つと、大切な人を眠らせる準備のために退室した。]