[ きんっ、と氷の音>>184が聞こえたような気がした。
反射的に目を閉じながらも空間に捻じ込まれていく。
視線で追ったのは唯一天から送られ、無事だった手袋。
それは今や彼が誂えた椅子に置きっ放し。
手を伸ばせば届いたのだろう。
ほんの僅か悩む心は本物。
しかし、結局それは置き去りにする事に決めた。
代わりに探したのは彼の手。
布地が与えてくれた暖を取り戻すよう
両手を使い絡め取ってしまえば強く握り締める。
偵察部隊や、他の天使は無事なのだろうか。
祝福を与える力など、もうこの手にはなく。
彼らにしてやれる事はなくとも、
複雑な胸中を他の者に隔ててしまうのは
きっと、性格≠ネのだ。 ]