― とおい記憶 ―
[幼い頃の閉ざされた世界を開いたのは、外から訪れた者たちだった。
取り分け、探検と称して危険とされる場所に入り込んでいく少年は、幼い少女の好奇心の対象となっていて。
村に近い歳の子供が少なかった事もあり、親以外の誰かと一緒に、という事があまりなかった少女にとって、その後を追いかけて行くのは楽しい事だった。
それを可能としていたのが、魔の血に基づく身体能力──とまでは、知る由もなかったが]
んーん、おにぃの方がすごいよ。
こんなとこまでこれる子、いないもの。
[すごいという言葉も、どこでも行ける、という言葉も向けられる機会はなかったから、純粋に嬉しくて。
それもまた、一緒に行きたい、と言い出した理由のひとつ]