― 回想/或る午後の話 ―
リヒャルト、これなんかどうだろう?
結構面白いんだ。著者の考え方が独特でね…
あーっと…。それとも、もっと気軽な方がいいかい?
これも面白いよ。旅行記だ。
深読みすれば中々に有意義なものだけど、単純に作品としても面白い。傑作だと思うよ。
[リヒャルト、と。気軽に名を呼んで、ウェルシュは年上の青年を振り返った。ウェルシュの私室の一角は、まるで小さな図書館だ。>>0:37
そこに彼を招き入れて、今、二人は本を手にしている。
彼にお勧めの本はないかと相談を受けたのだ。>>102
それにウェルシュは喜んで応じた。
何故ならば彼はリヒャルト・ラバル。
もう一人の兄のように近しく、親しく育った幼馴染だ。]