―野茨城/自室―
[扉を叩く音>>141に男の意識は引き戻される。
掛かる声から城主である野茨公が訪れた事を知る。]
はい。
[短い応えを返してから歩み寄り扉を開けた。
気高きその姿に自然と頭を垂れて迎える形となるけれど
“愛しい私の月”という呼びかけに羞恥を覚えずにはいられない。
どこをとっても己には過分な言葉に思えて仕方なかった。
姿勢は正せど顔を上げる事は出来ぬまま]
此処は貴方の城なのだし
私が貴方の訪れを厭う事などありえないのだから
わざわざ断りいれずとも良いのに。
[仄かな羞恥を紛らわすよう言葉を紡ぐ。]