― パン屋→広場 ―
[客が一旦途切れたから、店の前に”只今配達中。少々お待ちください。”の看板を置き、ドアに鍵をかけて宿屋へパンの配達に出た途中。通りかかった広場でモーリッツの姿を見つけた。
子供の頃、モーリッツに人狼の話を聞かされて興味を持ち、「じんろーってなに?」と根掘り葉掘り聞いた挙句、「じんろーってすごいんだね!おっかないよね!」と両親に言って、こっぴどく怒られた記憶はまだ鮮明に残っている。
声をかけようと近づくと、ジムゾンが先にモーリッツに話しかけていた。]
ジムゾンさん、ごきげんよう。
[二人に近寄って声をかける。]
ジムゾンさんは炊き出しですか?お疲れ様です。
[広場に漂うスープの匂いからそう推測して、ぺこりと頭を下げた。
両親が敬虔な信者であるため、小さい頃から教会によく足を運んでいるから、ジムゾンとはしっかり顔なじみである。]