[足元が泥土でぬかるんでいる。もとよりスタミナが無いところに、癒えぬ傷持ちだ。此処までの疲労で足が縺れ、半ば転がり倒れるようにディークの軍服を引っ掴む。公国の軍服も。帝国の軍服も。互いに泥に汚れ、それでも尚、諦めず。背には、蒼穹。兄弟子の瞳と同じ、空色を背負って――――] ディーーーーク!!![泥を被ったナイフの刀身を、渾身の力を篭めて大きく振りかぶる]