[煙の近くにいれば聞こえる、青年人形のわらいごえ。煙の中にいる傀儡は、炎の蝶に焼かれた頬に触れて眉を顰めております。]……さっきの蝶、だけやないなこれ。「そうでしょうね。おまえはほかのまじょよりはマシですが、ちょうじかんこのなかにいたらきけんですよ。」[ああ、焼かれた黒衣がボロボロになっております。そこから見える肌も、大方溶けて、ひどいところは少しだけ 溶けて しまっています。耳を澄ませて、獣耳の魔女のたてる音を聞き逃さないようにと。何分、煙が濃いために前が見えないものですから。]