― 厨房 ―[巨大な竃に明々と焔が踊っていた。焔の真上、鍋をかける棒に吊られた白い塊][濡れたぬいぐるみを干すのがとても上手な誰かによって、兎は無事に──違う。洗濯バサミよろしく首や肩に食いついた吸血蔦は、穴を開けても血を吸い出せないのか幾度も噛み付き直していた。強火の遠火で炙られる白兎はびしょ濡れの状態からすっかり乾いて、カラカラに渇いて]