[――実験体となって少しした後のことだった。
同じ実験体のものが、過ぎた力を精神で統御できずにところかまわず刃を向けるものに成り下がってしまった事件があった。
幸いでもないが、実験も初期段階であるため、そこまで人から外れた力をもっていなかったから容易く処分された。
実験の失敗ではなく、心の弱さが招いた事件であった。
その時、幼馴染とあるを提案した。
ただ『自分自身にルールを課してそれは守る。』というもの。その提案をどう扱われたかはわからない。
だが信仰心があるわけでもなく、悪人でこそないが教会の使徒候補として生きねばならない。その道の過程でも、人形ではなく自分というものを残そうと思ったのだ。
それは、仲間は殺さない。とか。守りたいやつを守る。だとか。よく考えて刃を向けるものを選別する。とか。ガキの頃からの営みを送り続けるために必要なものを、俺は自分に課すと決めていった。]