― ヴァイスメーヴェ/来客室 ―
[>>178 ウェルシュの促しに、再び女領主は口を開いた。
流石に船を造れという不躾な注文をしに、遠路はるばる来た訳はないようだ。
ウェルシュは、カルボナードに靡くほど積極的な愛国家でもないけれども。
かと言って、ウルケルに不満もない。
―――単に政治に詳しく無いとも言えるけれども。
だから、反旗を翻すという発想は、ウェルシュにはなかった。
もっとも、ゲオルグらが戦っている海を想うと、裏切る気なんて毛頭起きないというのが、正直なところである。
アンディーヴが、そんなウェルシュの性質を知っているかどうかは知らないが。続く交渉は、先程の注文よりは、現実的なものでった。]