― 獣 ― 犬だか、狼って……>>#3 一体どこで?[入り口周辺の掃除を終えた後。 ふいにつぶやかれたゲルトの言葉を、 アルビンはまったく見当違いな方向に解釈していた。 尋ねておいて答えも待たず、外へ飛び出す。 宿の裏手に回って、 “ああ……” 嘆息する。 横木につながる手綱の先にはなにもない。 ひづめの跡さえ、雪に覆われて見えなくなっていた。**]