『一度、ブラバンドに遊びにいらして下さいませ。
久しぶりにお酒でも飲みましょうか。
良い酒になる事を祈りますよ。
-Alexis Huré-』
[長くなりすぎた手紙を封筒に仕舞い。
最後に蝋燭を火で炙り、封筒の上に垂らす。
その上からユレ家の印を刻印すると、遣いの兵士に届けるように伝えた。敢えて王府の刻印は使わない。
一見すれば、しがないただの手紙にしか見えないそれ。果たして、かつての同僚は、手紙を開いてくれるだろうか。
文章はあの時のままの、砕けた同僚の口調で。
然し、その内心は影として、人を天秤に掛けている。
かつて教壇に立っていた時のような、爽やかなシュビドの空の煌めきを。
今もアレクシスの双眸に携えているかどうかは、
分からない。*]