[飢えによる消耗を見て取れば、自身の腕の皮膚を噛み切ろうとするのだが――…
「見る者によっては、自身は神の依代である>>0:305」そう彼に伝えたのが随分前のように感じる。
自身の信じる神にとっては自身の血は神の血でもあり、そんなものを混ぜ物もなしに与えられるわけがない。
混ぜ物を取りに一人館に向かうことを考えたが、離れ過ぎたら岩肌の印は魔力を失い、彼は陽光に灼かれるだろう。
既に人ならざる彼に、彼女と同じ方法>>0:37をとれるわけもなく]
――少しだけ待ってて!
[聞こえているのかわからない彼に、そう言い聞かせたならば、ウェストコートをその場に脱ぎ捨て、同じく脱いだシャツを手に、彼のいる場所から離れた]