[祈るような心地で伏せた睫は髪と同じ白銀。
頬に落ちた影が、ふと、何かの気配を感じ震えた。
目を開けて顔を気配のする方へと向ける。
そうして翠玉のような双眸に映り込むのは
翳りにありながらも咲き誇る白薔薇の如き存在。
誰かが居る事などあり得ないと思いながらも
目を奪われて声を発することも出来なかった。]
――…。
[幾許かの間の後、思い出したように息をのむ。
はたり、はたり、と、瞬きを繰り返し]
貴方は、月の精霊か、それとも薔薇の化身か。
[しのぶ蔓から仄かに香る薔薇の気配にそんな言葉を投げかけた。*]