[おはようと、彼が告げたとき、無性に泣きそうになった。>>171
状況が好転したとは確信できないにも関わらず、カランと音を立ててナイフが手から滑り落ちる。
それは無意識に、……というよりは感覚や本能に近しいレベルで、もう大丈夫だと判断したから。]
……おはやく、ないわよ。
ばかソマリ。
[力尽きたように座り込み。
ごめんなと揺れる目に気付いたから、そう軽口を叩いて笑った。>>171
普段のように、気安い言葉を口にする。
きっと、ごめんなと、口に出してたら、血まみれの手で一発叩いていたところ。
私が決めて、私がしたこと。
ソマリは何も悪くない。
むしろ、あのままだったら殺すという言葉すら守れそうになかったことに、ごめんと言いたいのは自分の方だった。
そのまま抱きかかえられたなら、体を預けたことだろう。
連れて行かれるのは未使用のコクーン。]