「…あ…。」[ベネディクトは守り刀を取り落とす。血に塗れたそれは、今手にする事の出来る彼の唯一の武器なのに。それは湧き上がった殺意の消失を意味していた。]―っ…、俺が人でなくて良かったですね。[ 何だ、これは。 悪夢なのか。夢ならば早く醒めてくれ。痛むように斬りつけた場所を押さえる弟を目に収めながら、ベネディクトの頭の中は恐慌状態に陥る。喘ぐように酸素を求め、やっと紡いだ言葉は。]「っ…、ば け もの」