ー現在・レストランー
[スノウ、メリーからの通達を1人聞いたすぐ直後。食べていたカレーを片付け、…は一つの鍋の前でずっと立っていた。
グツグツ煮える、その鍋の中にあるものは、『龍のスープ』。これを飲むであろう想い人の顔を想像しながら、そのスープを仕込む。
その料理の真の目的は隠したまま。しかし、ずっと1人頑張ってきた彼女に最高の味と温かさを届けてあげたかったから。
バッグから”赤いエキス”を取り出す。これはマーゼリーの希少食材で”一角龍の血”。…はゆっくりと容器の蓋を開け、血を一滴鍋に垂らす。落とされた滴は、スープを不気味な真紅に染めた。
具材は肉と、野菜と、そしてもう一つの故郷の味”星蕪”を添えて。…の全てがこもったスープが出来上がるのは、数時間後のお話。]