― 翌日・奈良公園 ―
[バスを降れば、晴れ渡った空の青が寝不足の目に痛い。
隣に佇む無言の炉の気配に、小さく息をつく。>>151
今日は自由行動でいいだろ、と班員に言われてしまえば頷く他なく。
不機嫌のとばっちりを食らわないよう、逃げて行く姿を恨めし気に見送る。
昨夜の脱衣所の椅子には、同じく湯当たりしたらしい生徒がいたが。
そちらは意識もあったので他の生徒に後を任せてしまったけれど、騒ぎにもならずしばらくしたら自分で部屋に戻ったと聞く。
逆上せる程、湯船で何やら考え事をしていたらしい。
炉もそうだったのだろうか。]