[雪にさらされていたはずの顔は、 きれいに化粧が施されていた。] お世話になったのに、なんのお礼もできないままでした[それだけぽつりと、つぶやく。 懐から、すり切れた布袋を取出し、中身を一つ抜き取る。 白い紙の札。直線が重なり合い、異質な形が描かれている。 なんと書いてあるのかアルビンは知らない。 彼の父が、命より大切にしていたものだ。 ご利益があるんだと言っていたから、そっと、 桃色の石鹸の下にもぐりこませた。 自分なりの弔いは、これでもう終わり。*]