吸血鬼だって完全無欠じゃないんですから、最期の時を考えたっていいでしょう?
私たちはただ静かに生きているだけだというのに、君たちのような存在が、勝手に命を奪いに来ますからねぇ。
考えることも多いんですよ。
[自身の命を狙うのは、人間よりも同胞の方が多いのだけれど。
しかしそれを口にすることはなく、淡々とした言葉>>142に肩を竦め、ぎち、と引き寄せられる剣に抵抗するように髪が軋む。
擦れ違うために近寄る彼の気配に隙はなく、笑みを湛えたまま言葉を紡ぎ続けた。]
よければ、教えてくれませんか。
君はなぜ吸血鬼を殺そうとするんですか?
[浮かんだ興味をそのままに、横を通り過ぎようとする彼に尋ねる。
未だ剣に髪は絡んだまま、答えを得るまでは離さぬと、言外に伝えていた。]