― 試験時間前・廊下 ―
お、カッちゃん。
[教室へ向かおうと歩くその更に前を歩く小柄な教官を見かけると、ひらと片手をあげた。
公式の場や教員室でない限りは、どれだけ注意されようともカサンドラの事はそう呼ぶようにしている。
2つと留年した先輩と同学年になった時点でどう呼ぶか、と考えた末に出した結論のひとつで、それは今も変える気がなかった。
視線はちらと手元の紙束へ向く。
その先、つい視線が指に収まる物に行くのは仕方ない。]
男よけ健在だなぁ。
[笑みを浮かべたままそう言った。
苦笑に近い、それ。]