[後日、時折会うようになった青年くらいの彼は、異国の話をよく聞きたがった。
鷹匠だと名乗って、色々な国を移動していると言っただけでこの様子だったから、相当他所の国を知りたかったのだろうなとは想像がついた。]
…まあ、そうだけども。
俺が見聞きしただけのものだぞ…。
何処ぞの御坊ちゃまみたいな事を…。
[「きっと国内だけで商いでもしているのだろう」、と結論付けて、それ以上は言わず話に入ってしまったが。
くるくると表情が変わる様子は、ある意味新鮮な反応だったから、話していて楽しくもあった。>>156
いつか、転々としていた筈の俺は、あっさりと数年を此処で過ごす結果になったが、それはそれで悪くないとも思った。
風が強く、林の多い山岳帯の。
…故郷の話も、まるで他の国と変わりなく話したりする程には、反応を愉しんでいたと思う。]