[ 昏い赤色を宿した瞳で考古学者は囁く。
彼女の透明な心臓を真っ直ぐ貫くような、
穢れた鏃にも似た先の尖った鋭い言葉を。 ]
…僕が君を"殺し"たら、ヴィクトリアが死ぬ。
[ 形ばかりは笑顔でも、
酷薄さが浮き出すような貌で。 ]
そう、僕に教えてくれたのは君だった筈だろう?
……サーラ。
[ 最後の名だけは、
彼女に肉薄して。
誰にも聞こえないように
くつり。と暗い笑みを交えて。 ]
自分を信頼する相手の背中を突き刺すのも嫌いじゃないが…、
……僕はね――君に"絶望"して欲しかったんだよ。
[ 嘗て何処までも深く"絶望"した自分のように ]