……人狼ってね、そういうものなんです。
普段はどんなに冷静で、聡明で優しい人であっても。
一旦、破壊衝動に支配されたら、
その瞬間は、理性も愛情も吹き飛んで…ただの獣になってしまう。
どんなに大切な相手でも、愛している人でも、
殺さずにはいられない。
誰よりも、俺自身が、この身を以て分かっているから…
[だから、貴方を信じられない!
マーティンから数歩ほど遅れた位置で>>134>>149
彼の瞳をみつめたまま>>150
両手で握りしめた銃のレバーを起してセーフティを外し、
胸部付近を狙って、トリガーに掛かる指に、
ぐっと力を籠めて引こうとした。
誰よりも自分が人狼の悲劇を分かっている、という悲痛な言葉は、
人狼となった兄に殺され、その兄を殺さざるをえなかった故のもの。
けれど聴き様によっては、まるで“人狼”自身が、
我が身に振りかかった運命を嘆くようにも、
聴こえたかもしれない――…。]