― 現在:花屋『Florence』 ―
ただいま、ジョニー。
[店番をしてくれているドロイドにそう声を掛け、店のカウンターの裏手の椅子に座り、大きく息を吐きだした。
……無性に、疲れが溜まっているようだ。
ここで、ヴィクトリアとお茶を飲んだことが、随分昔に感じられる。
そういえば、アリーセも来てくれたんだったなぁと、無意識にブーケを作るときに使用する紙のFlorenceという文字を撫でながらふと、そんなことを思う。
ヴィクトリアにあげるためだったようだけれど、買ってくれたことが嬉しくて、今も目を細めた。
そして、そのときと同じように、お湯を沸かし、ジャスミン茶を入れる。
ティーカップなんて来客中でもないのに上等なものを使うはずもなく。
マグカップに注ぎ入れ……ふーふーと冷ましながら、店の奥の栽培施設へと向かう。
そこの一画でぺたりとしゃがみ、ぼんやりとしながら、熱いお茶を、ゆっくり、ゆっくり飲んだ。]
……花、アデルはすぐに決まるけれど……
他の人はどうしよう……。
……はぁ、……疲れた。
[体もそうだが、なにより精神が。
それに……泣いたのなんて、もう何時ぶりかってくらい、久方ぶりだったし。
しゃがみ込んだら、足に根が生えてしまったかのように、なかなか立ち上がることが出来ず。ちょっと情けなくなって笑う。]