[普段の非力な彼女からはおよそ想像もつかない強さで彼女の爪が此方の腕に食い込む。ぷつり、刺さった箇所に一瞬のひやりとした感覚のあと熱を帯びた紅い珠がいくつか浮かんでは一筋の線を作って床に流れ落ちた。]…。[刹那、表情の消えた顔で彼女のほうを振り向けば暴れる彼女に再び魔力を流し込む。何度か抵抗を許しながらも、どうにか彼女がその意識を手放したのを見て取れば彼女の身体を抱いたまま、居室へと踵を返した]*