[片手には餞けの花を、もう片手は空いてはいたが元より力も疾さも秀れた生き物。
あっという間に手元を離れてしまった。]
あ、あー… …やっぱり軽率だったかー…。
外に飛んでいくとは… んんん…。
[哀しいかな、俺は人間だから窓から飛び出して追う訳にはいかない。
それが、聡明な青年と思って過去に礼儀を欠いた第二王子の、その目に止まった事は知らないまま。>>158
(それが白雪だと分かってしまったら、彼は俺が未だこの国にいると思うだろうと。
そうして、もし、また話を聞きたいばかりに探されたりしようものなら敵わないと思っていたのだ、あまり嬉しい現状ではない。)
ただ、暗くなるまでは暫く飛ばせておくかと、諦めにも似たため息を吐いて向きを変えた。
もし、もしもの話。
王子が長く外にいる事でもあれば、 “彼女” は、その腕にでも止まろうとしたかもしれない。]