− 旗艦シュヴァルツアイン・執務室 −
[ロー・シェンの口から語られる前任者の様子にうなずく。>>170
老練の海将の表情までが手にとるようにわかり、第三艦隊のあいあいとした雰囲気が伝わるようだ。
水雷艇を擁する第三艦隊は、敵艦に最も近接する部隊だ。
危険と隣り合わせの殊勲。それが兵たちの結束を高めるのかもしれない。
そして、第三艦隊には帝国辺境や移民の士官が多いのも事実。
彼らが第三艦隊を希望する理由はそれぞれにあるはずだ。
疎外感からではなく、誇り、そして向上心をもって第三艦隊を選ぶ者を、アレクトールは喜する。
「一度波に乗ったら、降りることなど出来ぬ」と、ロー・シェンが感じたのはあながち間違いではない。
ただし、波に乗ることを選ぶのは本人で、乗ることができるのは才能だと、アレクトールは言うだろう。
そして、波の上から見える景色が知りたくないかと誘うのだ。]