―図書館/外―
[図書館から出て。荒れた寝床を片付ける作業の重さを思い出し、若干肩を竦めつつも。
戻るしか無いという覚悟を決めて戻ろうとした矢先、声が投げかけられる>>187]
……おう、坊……じゃねえ、ペーターじゃねえか。
こんな天気の中こんな時間まで、何やってんだおめえ。
[子供扱いされる事を今の彼が嫌うのは知っているので、「坊主」じゃなくてちゃんと名前で呼ばねば……とは解っているのだが、やはり、いつもの癖で「坊主」と呼びそうになってしまう。
とはいえ、時間はともかく天気は子供が一人で駆けまわるにはちょっと危ない時間帯で、若干心配ではあるようで、そんな声を掛けてしまうが……]
あ?ああ、本を読むのもたまにゃいいもんだぜ。
どうせ漁どころじゃねえしよ。
[そう言って、片手で荒れた海を示す。本当の目的――十数年前の事件の情報を得ること――には触れなかった]